商品パッケージや印刷物を多言語化して、訪日観光客や在日外国人に情報を届ける方法

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと1年となりました。2013年9月に夏季オリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決まってから、観光庁をはじめ日本の観光立国の実現を目指し、観光推進や訪日プロモーションが行われてきました。

その効果もあり、当初日本政府は2020年にインバウンド数2,000万人を目標に掲げておりましたが、2016年には目標を達成し、現在では「明日の日本を支える観光ビジョン」概要の中で、2020年には『訪日外国人旅行者数4,000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円』という新たな目標値を掲げています。

「明日の日本を支える観光ビジョン」概要(出典:国土交通省観光庁)

一方で、平成31年3月に国土交通省 観光庁が行った「小売分野の多言語対応に関する訪日外国人旅行者の意識調査」の調査結果によると、以下のように多言語対応が十分ではない現状が見えてきます。

  • 困った買い物シーンについては「商品を探す際」22.2%、「商品の内容や使い方を探す際」19.6%となり、商品について困ったという回答が多く、次いで「お店を探す際、見つける際」が16.1%となる。一方で「困っていない」という回答も37.2%となった。
  • 困った理由として「多言語で書かれているが、情報が少ない」が18.1%、次いで「スタッフは話そうとしたがスキル不足」17.2%、「表示言語数の不足」15.9%となっている。
  • 困った際の解決方法は「自分のスマートフォン・タブレットの翻訳アプリで解決した」が32.7%、次いで「自分のスマートフォン・タブレットでインターネットを使って対処法を検索して解決した」が21.1%と自分のスマートフォン・タブレットを使って解決している傾向がある。
出典:「小売分野の多言語対応に関する訪日外国人旅行者の意識調査」調査結果 ー平成31年3月 国土交通省 観光庁
※テキストの強調は筆者がつけています。

このように、困った買い物シーンとその理由の調査では商品についての困りごとが4割以上を占めており、また困った理由として、表示言語数や情報の不足があげられています。
一方で「困っていない」という回答も約30%あり、自身のスマートフォンなどでの解決策が増えたこと、また、多言語対応ができている店舗や商品と、でき ていない店舗や商品との両方が浮き彫りになった、とも推測できるかもしれません。

今回は、商品パッケージやラベル、商品説明などの印刷物の多言語化を行い、2020年のオリパラ前だけではなく、オリパラ後も継続して訪日観光客や在日外国人に母国語で情報を届けることで、機会損失を減らし消費拡大する方法を考えてみたいと思います。

多言語化の必要性

2019年7月に日本政府観光局(JNTO)より発表された「訪日外客数(2019年6月推計値) 」によると、単月としても過去最高となっており

2019年6月の訪日外客数は、前年同月比 6.5%増の 288万人。2018年6月の270万5千人を17万人以上上回り、6月として過去最高を記録した。
1〜6月の半期でも、2018年と比べて4.6%増の1663万人に増えています。

出典:日本政府観光局(JNTO)

また今後、日本で行われる国際イベントが続くため、訪日外国人の増加が見込めます。

今後、日本で行われる国際イベント

2019年9月〜11月にかけて「ラグビーワールドカップ2019」が日本全国12会場で行われます。ラグビーワールドカップ2019組織委員会によると「大会開催における経済波及効果は4,372億円と予測され、訪日観光客は40万人に達する可能性がある。」と公表しています。

その後、2020年にはオリンピック・パラリンピック、2021年にはワールドマスターズゲーム、2025年には大阪万博と続いていくため、今後を見据えてインバウンド対策が重要になっていきます。

このような現状の中、先程の「小売分野の多言語対応に関する訪日外国人旅行者の意識調査」でも多言語化や情報の追加の必要性が出ていましたが、同様に訪日外国人旅行者の受け入れ環境側でも多言語化の必要性が調査結果に出ています。

出典:日本政府観光局(JNTO)

また観光庁の「訪日外国人消費動向調査2019年4-6月期(1次速報)」によると、「2019年上半期の訪日外国人旅行消費額は2兆4,326億円(過去最高額)」となっています。

国籍・地域別の構成比を見てみると、中国が4,706億円(構成比36.7%)と最も大きく、次いで台湾1,457億円(同11.4%)、韓国1,227億円(同9.6%)、米国946億円(同7.4%)、香港904億円(同7.1%)、タイ462億円(同3.6%)、オーストラリア352億円(同2.7%)と続いています。

出典:国土交通省 観光庁

多言語化することで訪日外国人がストレスなく快適に観光できるだけでなく、英語や中国語などユーザーの母国語で様々な情報を表示・提供することで機会損失を減らして消費拡大することが可能になると考えられます。

訪日外国人旅行者の支出費目と購入商品の変化

2019年6月に三井住友銀行が公開している「訪日外国人旅行者(インバウンド)の動向」でも、以下のようにまとめており

  • 日本滞在中の支出状況をみれば、12年対比で宿泊料金や交通費などが減少している一方、飲食費や買物代が増加しています。特に商品購入では、電化製品などから化粧品や医薬品などへのシフトがみられます。
  • 買物場所としては、コンビニエンスストアや空港免税店といったアクセス面で利便性が高い店舗のほか、目的買いが中心とみられるドラッグストアや百貨店でも6割前後の旅行者が買物を行っています。
  • 旅行前の情報収集手段としては、個人のブログやSNSなど、インターネットを介し得られた個人の口コミを重視する傾向が強まっています。
出典:訪日外国人旅行者(インバウンド)の動向 ー2019年6月 株式会社 三井住友銀行

今後の見通しとして、小売・外食の領域では「多言語案内表示設置、訪日外国人向け海外プロモーションの強化」などを、需要補足に向けて想定される具体事例としてあげています。

したがって、多くの訪日外国人が困っている「多言語対応問題」を解決してあげることで、旅中の訪日観光客対応だけではなく、その後のSNSによる拡散も期待できるます。

つまりインバウンドだけでなくアウトバウンドとしても活用できるので、現在の問題解決だけではなく将来への投資とも考えることができそうです。

省スペースで多言語化する方法が必要

多言語化対応を実施していこうとしたときに、まず困るのがスペースの問題です。各ユーザーにとって必要な情報は自分の母国語だけあれば十分ですが、街中にある案内看板や公共交通の行き先表示、商品パッケージのラベル・レストランのメニュー・使用説明書など思い出していただくとわかりやすいのですが、日本語と英語の併記や場合によっては複数の言語がまとめて表示されている物があったりします。

直接接客・案内することが可能であれば(レストランや対面販売の場合)ユーザーに必要な言語だけ表示した制作物提供することも可能ではありますが、いつでもどこでも接客対応することは現実的に不可能なため、大半はユーザーが自分自身で情報を確認する環境になると思います。

また商品パッケージ等は、そもそも商品が小さい場合には日本語だけですべての面が埋まっていることが多く、様々な言語を表示するスペースを作ることは難しいかと思います。どうにかスペースを作ったとしても、少ない範囲しか得ることはできないかと思います。

十分なスペースがあれば予想できる必要な言語を表示しておけばいいのですが、ユーザーの利便性や見やすさを考えるとたくさんの言語が列挙されているのは、見にくく分かりにくくなってしまうためあまりおすすめできません。

webを利用すると複数言語の対応ができる

現状では、省スペースで比較的表示できる方法として「JANコード」や「QRコード」、また「ビーコン」、「ICチップ」などを活用して、webサイトと連携して表示する方法が多いかと思います。

商品パッケージなどは「製・配・販連携協議会」が提供する専用アプリ「Mulpi」を利用することで、商品パッケージや店頭POPについているMulpi対応JANコード(バーコード)を読み取ると、英語・日本語・簡体字中国語・韓国語・繁体字中国語の5言語でメーカー公式商品情報を確認することができる仕組みを提供しています。

出典:製・配・販連携協議会 多言語商品情報P

webサイトであれば、実質スペースの制限なくテキストや画像、動画なども表示して情報を伝えることができますが、単純に現状運用しているwebサイトを多言語化して表示するだけでは、ユーザビリティーが下がってしまう場合があるため、利用の際にはしっかりとした検討が必要になります。

また、専用アプリが必要となるとユーザーにインストールをしてもらう必要があるため超えなくてはいけない心理的ハードルが増えてしまいます。「ビーコン」「ICチップ」などは1つあたりの単価がまだまだ高く、商品単価が高くないものへの活用は費用対効果面でのハードルが増えてしまいます。

ただし、web上に多言語コンテンツを表示することは、印刷や看板に直接表示することとは違い、適宜内容の変更や追加ができるので、季節や売れ行き、販売戦略などに応じて内容を追加・反映することもできるため、印刷とは違ったとても便利な面もあります。

想像より煩雑な多言語翻訳対応

webサイトを多言語化して各言語ユーザーが読めるように対応する場合、まずは翻訳作業から始めることになると思いますが、多言語対応は思っているより煩雑で、言語が増えると増えた分だけ対応しなければならない作業が増えていきます。

予算が潤沢にある場合は、大手翻訳専門会社に依頼することでワンストップで様々な言語を翻訳することも可能ですが、翻訳費用を抑えて高品質な翻訳を依頼したい場合には、言語ごとに専門の翻訳会社に依頼することも可能です。

ただ専門の翻訳会社もジャンルによっては得意・不得意な内容があるため、しっかりした翻訳テキストを作成するためには、しっかりと調査をした上でさらに複数社とやり取りする必要があるため、翻訳データを取りまとめるだけでも相当の工数が必要になる場合があります。

また「翻訳データ」として各言語の対訳をまとめたあとに、webサイトへの反映を行っていく必要があります。おそらく日本語をベースとして作成されることが多いので、日本語から各言語への置き換え・調整等々を行いますが、多言語対応に慣れていない制作担当者だとこの入れ替え作業だけでも相当の工数が必要です。

効果測定の方法

多言語化の対応は、制作して終わりではなく継続してブラッシュアップする必要があります。そのためには効率的に効果測定ができる方法があると便利です。

代表的なwebの効果測定としては、Googleアナリティクスの活用になると思います。無料で利用でき、とても高度なアクセス解析をすることも可能です。また最低限の情報はちょっとした作業をすることで、簡単にアクセス解析をすることが可能です。ただ、必要な情報を得るためにはそれなりの学習コストと準備が必要となるため、web担当者やプログラマーなどの協力が必要になると思います。

また効果測定を始めていくと、当初の想定とは違う言語利用者からのアクセスが意外と多かったりなど、準備していなかった言語が必要になる場合があるので、できるだけ効果測定の工数は抑えて、まずは多言語化に合わせて調査を進められると費用対効果としても良さそうです。

多言語対応の費用感

コンテンツの内容やボリューム、利用する言語によって大きく違うため、一概に相場感が出せませんが、多言語web制作を行う場合には「数百万円からの費用が必要になる」ことが多いようです。

多言語Webサイトを制作する時の「翻訳・制作・アクセス方法・費用」

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また対応言語の増加に合わせて、様々な調整や再制作が必要になるため費用も倍々となっていくことが多いようです。イメージとしては、新しいサイトを言語分作成して増やしていく形です。

QRコードを利用し看板や印刷物をとても簡単に多言語化出来る「QR Translator」

QR Translatorは、QRコードを利用し看板や印刷物をとても簡単に多言語化出来る世界で初めてのソリューションとなっており、商品パッケージや案内看板、商品説明書、ガイドブックなどスペースが少ない場所にも「QRTコード」を設置することで、ユーザーが自分の携帯端末でコードを読み取り、ユーザー端末の言語設定を認識して翻訳文を表示させます。

商品パッケージや印刷物の多言語化対応に必要な、煩雑な作業を「QR Translator」で効率化することができるので、訪日観光客や在日外国人により早く正確に情報を届けることが可能になります。

また母国語の情報を求めているユーザーはQRコード読み取るだけなので心理的ハードルも低く、より簡単に自分の言語で欲しい情報を得ることが可能になります。

ダッシュボード機能

「QR Translator」では、発行できる1つの「QRTコード」で最大15言語対応ができ、多言語に特化した効果測定が可能なダッシュボードでは、ユーザーの読み取った場所や利用言語、時間帯・曜日別訪問者数などを簡単に確認することができます。

パッケージプラン

利用料金は、QRTコード単位の月額利用料の他に、印刷部数またはアクセス数に応じた従量課金となっておりますが、商品パッケージや公共郵便物はわかりやすいパッケージプランもご用意しております。

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